したものとした。防波堤先端には二重円筒ケーソンを設置することによって、ソフトなイメージを作った。
2−3. 設計条件と基本断面
当該施設における設計条件(防波護岸を挟む南北200m区間)をTable−2.に示す。
Table−2. Design Condition of The Breakwater
No |
項目 |
設定値 |
(1) |
施設名 |
〔毛見地区〕防波堤(北)(南) |
(2) |
施設方向角 |
X16°41° 57° |
(3) |
施設延長 |
(北)470m(南)450m |
(4) |
設計波浪 |
a.設計波浪 H 1/3=4.0m
T 1/3=8.0sec
b.消波対象波
H 1/3=1.5m
T 1/3=4.5sec
β=0° |
(5) |
設計潮位 |
H.H.W.L.=DL+3.00m(※1) H.W.L.=DL+1.90m
L.W.L.=DL(+-)0.00m |
(6) |
現地盤水深 |
h=-7.4m(平均水深) |
(7) |
土質条件 |
表-Aのとおり(※2) |
(8) |
設計震度 |
Kh=〔地域別震度〕×〔地域種別係数〕×〔重要度係数〕 =0.15×1.2×1.0
=0.2 |
備考(※1)海南地域における既住最高潮位
(※2)表-A
土質条件
防波堤(北) |
防波堤(南) |
深度 |
土質 |
γ |
深度 |
土質 |
γ |
現地盤〜-15.0m |
粘性土 C=0.258Z+0.86
(Z=0,at-8.0m) |
1.8 |
現地盤〜-15.0m |
粘性土 同左 |
1.8 |
-15.0m〜-25.0m |
粘性土 C=0.128Z+2.67)
(Z=0,at-15.0m) |
1.68 |
-15.0m〜-25.0m |
粘性土 同左 |
1.68 |
-25.0m〜-33.0m |
砂礫土 ?=33 |
1.8 |
-25.0m〜-31.0m |
砂礫土 同左 |
1.8 |
-33.0m〜-43.0m |
粘性土 C=0.369Z+2.78
(Z=0,at-33.0m) |
1.7 |
-31.0m〜-44.0m |
粘性土 同左 |
1.7 |
防波堤の構造形式については、プレジャーボート等の小型船舶の利用を前提としているため、防波堤前面の反射波の低減を確保するため消波構造とする必要がある。そのため、消波構造の形式として、上部工をダブルデッキ構造とすることを考慮して、縦スリットケーソン堤を本体工の形式として採用した。
また、上部工の基本形状としてダブルデッキ構造を採用することとしたため、従来型の上工を有するタイプとは異なり、天端が高く、かつ港外側に面した部分が階段状になっており、さらに上部工の本体部分の重心が港外側に偏った形状となっていることから、堤体全体としての安定性及び波浪時の越波等による港内側への波の伝達率について不明な部分があったため、水理模型実験による確認を行った。その結果、設計上の所要の波高伝達卒を満たすこと、並びに堤体上の利用の観点から、ダブルデッキから突き出たひさし部分に人が立って入れるようにするため、港内側上部の天端高さ(D.L.
+3.0m)とひさし部分の下端までの鉛直距離を2m確保する必要があり、ひさし部分の厚さ約1mを加えて、ダブルデッキ上部の天端高さをD.L.+6.0mと設定した。また、滑動に対する堤体の安全性も十分確保できることを確認した。
加えて、当該地点の地層には、現地盤(D.L.-7.4m)からD.L.-25m付近まで非常に軟弱な粘性上が存在するため、地盤改良を施す必要があった。これについては、?床堀置換工、?SCP工法、及び?沈床工法の3つの工法について、主に圧密沈下と経済性の観点から比較検討を行った。この結果、経済的には?沈工法が優れていたが、圧密沈下量が2m近くにも達することが予測され、ケーソンのつなぎ目で大きな段差ができる可能性もあり、親水性三防波堤として人々の、立ち入りを考えた場合、適当でないと考えられた。また、?床堀置換工法と?SCP工法では、経済的にほぼ同程度の結果となったが、?床堀置換工法によ方が圧密沈下量が小さいものになることが予測されたため、最終的に?床堀置換子工法を採用することとした。
以上の検討結果に基づき、基本設計を行い、提案された親水性防波堤の本本断面図をFig−2.に示す。
Fig−2. Cross Section of The Breakwater
この断面の特徴は以下のとおりである。
?本体工には、消波機能を付すため縦スリットケーソン提を採用した。
?上部工は、ダブルデッキ構造とすることにより、親水佐、安全性、また、構造の安定性にも配慮した。
?港外側にパラペットを設けることにより、越波及び人の転落等を防ぐように配慮した。また、パラペットには水抜き穴を設け、その大端には丸みをつけて、容易に人が上って立ったり、腰掛けたりすることができないように配慮した。
?本防波堤利用者への配慮として、上段デッキと下段デッキの連絡用階段あるいはスロープを約100mおきに配置した。
?防波堤全体のアクセントとして、サインカーブ状の前線をバルコニー部・プラザ部や壁面に設けた。
?港内側には、植栽マスやベンチを設けるなどして、直線の単調さを緩和した。
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